奥州一の実力を持ちながらも、天下を取ることが出来なかった政宗。しかし、時の天下人と渡り合ったその外交手腕は見事であった。
秀吉よりの命令である小田原参陣に遅れる事件が起こった。実母・保春院が弟・小次郎に跡目を継がせるために正宗暗殺計画を企て、政宗は辛くも命拾いをし弟を斬殺し、母を米沢に追放した。そのため参陣が半年も遅れ、激怒した秀吉に首を討たれるかもしれないという時、政宗は決死の演出を試みる。
髪をかぶろにし、死装束の扮装で陣営の臨んだ。しかしながら対面はゆるされず、箱根・底倉に監禁される。その時前田利家に「田舎者ゆえ礼儀をわきまえない。千利休に茶の湯を習いたい」と願い出る。茶の湯を愛する秀吉に対する芝居である。秀吉は政宗に興味を持ち謁見を許され、大名として存在を認められた。政宗の芝居が見事に図に当たった。
人を思いやる気持ちが強くなると意見も言えなくなる。義理を重んじればと頑固になる。礼も過ぎれば無礼になる。弁が立つ人は、ともすると騙そうとする。信用し過ぎると裏切られる。」という意味で、秀吉・家康と対峙した時に「天下人の力」知り、胸の中では高い志を持ちながら、日常の行動を戒める言葉である。
馬の上で活躍した青春の日々は遠く過ぎ去った。 世は天下は泰平。髪の毛もすっかり白くなった。 戦国の世を生き延びたこの身。これを楽しまないでどうしようか。